研究用語辞典

プラスミドとは

生物学系

最終更新日:2023.07.03

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プラスミドとは

プラスミド(plasmid)とは、大腸菌等の細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称です。
一般的に環状の2本鎖構造をとり、染色体のDNAからは独立して複製を行います。
プラスミドには、薬剤に対する耐性を示すタンパク質の遺伝子を持つものやFプラスミドと呼ばれる細菌の接合を起こし他の細菌を形質転換させるもの等、様々な役割を持つものがあります。
細菌の中には複数のプラスミドを持つものがありますが、プラスミドには不和合性があり、複製機構が似ているものは同じ宿主の中では共存ができません。

プラスミド

プラスミドの意義

細胞増殖等、菌が生育していくための遺伝情報は、染色体のDNAにあるため、プラスミドは通常の生命活動に必要な遺伝子は持っていません。
しかし、細菌が特殊な環境(高温、乾燥、高塩分等)に置かれた場合や病原性を発揮する場合等に、プラスミドの遺伝子が独自に働きます。
特に大型プラスミド(Rプラスミド,Fプラスミド)の中には、接合に関わる遺伝情報を持つものがあります。
これらと共存することにより、本来接合できない小型プラスミドも他の固体に遺伝情報を伝えることができ、無性生殖をする種の多様性において、重要な役割を果たしています。
また、プラスミドには薬剤耐性や酵素等の様々な遺伝子がありますが、作用が確認されているものは少なく、大半のプラスミドがどのような働きをしているのかはわかっていません。このようなプラスミドをcryptic plasmidと呼びます。

プラスミドを応用した研究

プラスミドはその独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして多くの研究や産業に利用されています。
大腸菌を用いた遺伝子のクローニングでは、まずプラスミドを回収し制限酵素で切断します。
プラスミドと同じ制限酵素で切断した、増幅させたいDNAをDNAリガーゼでプラスミドに結合します。
このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅します。
またアグロバクテリウム(土壌菌の一種)が持つプラスミドは自分でプラスミドを切断し、植物のゲノム上に遺伝子を導入する性質があり、植物の遺伝子導入において頻繁に利用されています。

アグロバクテリウムを用いた実用例:サントリーの青いバラ

自然界では青色のバラは存在しません。
サントリーは、青花のパンジーから花弁を青くする酵素を支配する遺伝子を取り出し、このアグロバクテリウム法を用いて遺伝子導入を行い、青いバラの開発に成功しました。

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