研究用語辞典

赤外分光光度計とは

化学系

最終更新日:2023.04.17

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赤外分光光度計とは

物質に赤外線を照射すると、ある波長の光が選択的に吸収されます。
物質を透過した赤外線の強さを縦軸に、波長を横軸にとってグラフ化することで、赤外線吸収スペクトルが得られます。この吸収スペクトルは物質固有のものであるため、その物質が何であるのかを知る上で有効な情報を得ることができます。また、物質を構成している部分構造に関する赤外線吸収はあらかじめ知られているため、赤外線吸収スペクトルから未知の物質の化学構造を推定することも可能です。

FT-IRと実用動向

赤外線分光光度計(Infra red spectrophotometer :IR)には、光源からの光を波数ごとに分ける分散子を用いる方式(分散形)と、光の干渉を用いる方式(フーリエ変換赤外分光光度計:FT-IR)があります。比較的簡単な装置で測定が可能であり、かつ他の分光法に比べで感度が高かったため、古くから有機化学の分野で化合物の構造決定に利用されてきました。
現在は化学、工学を始めとする幅広い分野で汎用されていますが、全ての波長を同時に測定できること、分散子を使わず光を有効利用できること、明るさ・感度・走査速度が優れていること、等の理由からFT-IRの使用が一般的になっています。また、FT-IRで測定されたスペクトルは全てコンピュータ解析にかけることが可能であり、蓄積された多数のスペクトルデータと未知試料との比較から構造の推定を行うことができるという点も、汎用される理由です。
FT-IRは、ゴムやプラスチックといった高分子物質の分析、大気汚染や水質汚濁の分析、食品や化粧品の添加剤の分析や劣化調査、半導体物質に含まれる不純物の分析、医薬品の分析とその代謝産物の分析等多彩な分野で実用されています。

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