サザンブロッティングとは
サザンブロッティング(Southern blotting)とは、放射性同位体や酵素等で標識した短いDNA配列をプローブ(探針)として、プローブと相補的な塩基配列を持つ DNA 断片を特異的に検出する手法です。
目的と原理
分子生物学的な実験を行う際、目的の塩基配列を増幅させたり、制限酵素によって切断しプラスミドに導入して発現させる等、様々な方法でDNAを扱います。
その際、ある特定のDNA配列に関して、サンプル中に存在しているのか、長い配列の中のどこに位置しているのか、配列が壊れているのか、維持されているのか等を把握しなくてはいけません。
そのために、目的の塩基配列のみを特異的に検出する「サザンブロッティング」を行います。
具体的には、まず何らかの制限酵素で処理したDNA断片をアガロースゲル(アクリルアミドの場合もある)で電気泳動した後に、ニトロセルロースやナイロンの膜(メンブレン)へ、拡散もしくは吸引によって転写(ブロット)します。
転写後の膜に、検出したいDNA配列と相補的な塩基配列をもつプローブ配列を結合(ハイブリダイズ)させ、目的のDNA配列のみを検出します。使用するプローブは通常、放射性同位体標識もしくは発色酵素標識されており、それぞれの標識に応じた検出方法があります。
由来と派生
サザンブロッティング法は、開発者の エドウィン・サザン(Edwin M. Southern)の名にちなんで名づけられました。サザンブロッティングの開発後、目的のRNAのみを検出する方法、目的のタンパク質のみを検出する方法が開発されましたが、それらの実験手法は、サザン(南)ブロッティングから派生して、ノーザン(北)ブロッティング、ウェスタン(西)ブロッティングと名づけられ、汎用されています。