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化学系の用語繊維

【概要】

繊維とは、動物の毛・皮革や植物などが自然に伸びる、または人工的に伸ばされることによって得られる、細くしなやかで凝集性のある紐状の素材のことです。現在では化学などの技術によって人工的に作られたものも数多くあります。人工的に作り出した糸状の構造およびその素材を化学繊維といいます。 高分子化学の考え方では、同じ高分子が樹脂(プラスチック)になったり、繊維になったりします。樹脂・繊維というのは、高分子の状態のことです。一般に、結晶質の少ない状態を樹脂、多い状態を繊維といいます。ポリマー溶液を細いノズルから押し出すと糸状の高分子となり、この操作を紡糸といいます。この状態では結晶性は不十分であり、ラメラ構造が見えるに過ぎません(ラメラ構造とは長い高分子鎖が折りたたまれた状態であり、一種の弱い結晶状態です)。 紡糸によってできた糸状高分子を引っ張り、さらに細い糸に引き延ばす操作を延伸といいます。この延伸によって分子の方向がそろい、結晶質となります。その結果、繊維の引張強度は延伸前の10倍程度に強くなります。

【性質】

繊維は、特に細長くなった固体です。このような構造は、強く引き延ばした場合か、ある特定の方向に分子が積み重なることで作られます。そのために構成する分子の向きが揃う(配向)など、普通の固体の状態より強くなる例が多くなります。しかも絶対的に細いために柔軟です。また、生物素材では内部に空洞を持って管を作るなど、さらに複雑な構造を持つものもあります。
これを緩く組み合わせた布などの場合、軽くて柔らかい上に、繊維の間に多量の空気を含むことから断熱効果が高まります。衣服として使われる所以です。密に組み合わせた構造では、柔らかさは失われますが、単に固めたものに比べると柔軟で丈夫な構造となります。

【活用例】

繊維は衣服、寝具、カーテン、ソファー、登山ザイル、漁網等私たちの生活の隅々まで取り入れられています。合成繊維の特徴・活用例は表.1の通りです。

表.1 合成繊維の特徴・活用例

名称 構造 特徴 用途
ナイロン

細く、美しい ストッキング、衣料品、ベルト、ロープ
ポリエステル 防しわ性、艇吸湿性 衣料品、ワイシャツ、混紡
アクリル 羊毛の風合い ニットウェアー、カーペット、人工毛皮

【合成ルート、作製・精製方法】

代表的な合成繊維、ナイロンの重縮合反応の例を挙げます。
この反応は、アジピン酸クロリドヘキサン溶液と、ヘキサメチレンジアミンの水酸化ナトリウム水溶液を混ぜた混合溶液との界面で縮合重合が起こります。その結果、アミド結合で結合し、界面でポリアミドの膜が生成し 6.6-ナイロンが得られます。
反応式は以下の通りです。

【歴史的背景】

代表的な化学繊維技術の歴史は表.2の通りです。

表.2 化学繊維技術の歴史

事柄
1883 スワン(英)、ニトロセルロース繊維を試作、artificial silkと名付ける
1891 ニトロセルロース人造絹糸の工業生産開始
1892 クロス、ビバン、ビードル(英)がビスコースレーヨンを発明
1936 デュポン社(米)のカローザスがナイロンを発明
1939 ナイロン繊維をデュポン社が工業生産開始
1950 アクリル繊維をデュポン社が初めて工業生産開始
1953 ポリエステル繊維をデュポン社がキャリコプリンターズ(英)より特許権を取得し初めて工業生産開始
1959 ポリウレタン繊維をデュポン社が工業生産開始
1965 芳香族ポリアミド繊維をデュポン社が工業生産開始
1988 テンセルをコートルズ社(英)が試験生産

【参考文献】
・齋藤勝裕、山下啓司 (2005)「絶対わかる高分子化学」

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