研究用語辞典

食物連鎖とは

生物学系

最終更新日:2023.09.14

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概要

食物連鎖は生物群集における捕食者と被食者の「食う・食われる」の関係が一連のつながりとなった、生物間の関係のことを示します。捕食者は同時に被食者でもあることが多く、食物連鎖は複雑に絡み合って食物網を形成しています。

性質

生物は同種、他種を問わず様々な形で自分以外の生物個体を利用して生きています。その中で最も典型的に見られる利用法が他者の捕食です。この連鎖において多くの場合、下位のものほど個体が小さく、その個体数が多い傾向があり、連鎖の順に個体数を棒グラフ表示すれば、上にゆくほど小さくなりピラミッド型になります。これを生態ピラミッドといいます。
この生態ピラミッドを構成する生物はそれぞれの役割に基づいて生産者、消費者、分解者の3つに分類されます。
生産者は独立栄養生物とも呼ばれる緑色植物やシアノバクテリアで光合成によって光エネルギーを利用して水と二酸化炭素から糖を生産します。
消費者は植物を食物とする草食動物を一次消費者として、一次消費者を捕食する肉食動物を二次消費者、二次消費者を捕食する三次消費者等の高次の消費者から構成されます。生物群集によっては第三次消費者以降が第一次消費者を捕食することもあり、これらの関係は複雑ですが、高次消費者が生態ピラミッドにおいて頂点であり個体数も少なくなります。
分解者は微生物やカビ類で、死んだ生物の組織やフン等の排泄物を二酸化炭素や水といった無機物と栄養塩類に分解して環境中に戻す役割をしています。ほとんどの微生物は好気的状態で有機物を分解する好気性微生物、および嫌気的状態で有機物を分解する嫌気性微生物の2種類に分類することができます。好気的分解では酸化反応によってCO2、H2O、NO3-、SO42-といった物質が生産されるのに対して、嫌気的分解では還元反応によってCH4、NH3、H2Sといった物質が生成されます。分解された物質は生態系の中で独立栄養生物に再利用されます。
消費者と分解者は自己の生命維持に必要な物質を自分自身で生産しないので従属栄養生物とも呼ばれます。

生態ピラミッド

ある生物種の生育する環境および食物網で占める場所をその種のニッチと呼びます。一つの生態系内で2種類以上の種が同一のニッチを占めることはできません。そのような場合はより環境に適合したものが生き残り、ほかの物は生態系から除かれます。

活用例

分解者が生産するメタン等のバイオマス燃料としての利用。

歴史的背景

食物連鎖の概念は1927年にチャールズ・サザーランド・エルトン(Charles Sutherland Elton)氏によって『動物生態学』の中で提唱された。

参考文献

環境科学の基礎[改訂版] 御代川 貴久夫著 P141-156

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