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化学系の用語セラミックス

【概要】

セラミックスは、人為的な処理によって製造された非金属無機質固体材料を表す言葉です。古来、「人為的な処理」は熱処理が中心でした。そのためセラミックスは、窯業製品、すなわち窯を用いた高温処理で製造される陶磁器などの製品、あるいはそれらを製造する技術や科学を表す言葉でもあります。陶磁器、耐火物、セメント、ガラスには、ケイ酸塩質天然原料を用いて古くから製造されてきたものが多くあり、このようなセラミックスを伝統的セラミックスあるいは古典的セラミックスと呼ぶことがあります。
これに対して20世紀半ば以降、天然原料ではなく厳密に組成制御された人工原料を利用し、熱的、機械的、電磁気光学的、生物学的機能を持つ種々のセラミックスが作られるようになりました。このような新しいセラミックスの一群はファインセラミックスと呼ばれています。

【性質】

硬さや弾性率が金属や有機材料に比べ大きく、摩耗しにくく、軽くて高温で機械的性質の劣化が少ないことが特徴です。しかし、非常にもろいという大きな欠点もあります。
単体である炭素やダイヤモンドを例外として、セラミックスは、金属元素、半金属元素、非金属元素のうちの少なくともいずれか2つの元素グループの間で生じる化合物から成り立っています。そのためセラミックスは金属結合、共有結合に加え、イオン結合がかなり重要な結合方法として多くのケースに関与しています。このように複数の結合方法が関与しているセラミックスの化学結合は、多種多様な特性をセラミックスに与えますが、イオン結合性物質や共有結合性物質の共通の性質として、固体は顕著にもろさ(脆性)を示します。もろさの克服がセラミックスの利用の要点です。

【活用例】

セラミックスは主にその用途によって表.1のように分類することができます。表からもわかるように、使用する原料や形成方法により、様々な用途に使うことができます。天然の鉱産資源をほぼそのまま、もしくは物理的・化学的方法を用いて精製した天然原料は主に陶磁器、耐火物、セメント、ガラスなどの伝統的なセラミックスに使用されます。鉱産資源から目的成分だけを抽出して作った人工原料は主にエレクトロニクスやフォトニクス用などのファインセラミックスの製造用として用いられます。

表.1 セラミックスの分類

分類 説明 具体例
陶磁器 いわゆる「やきもの」の総称 食器、タイル、衛生陶器
高温・構造材料 耐火物、機械構造部品、切削工具など 製鉄炉、ゴミ焼却炉、原子炉、エンジン部品、熱交換器など
石膏・石灰・セメント 石膏は歯科用、工業模型用、建築材料用などに利用 歯科用石膏、漆喰、建設材料
ほうろう 金属表面に無機ガラス質の釉を焼き付けたもの 鍋、浴槽、反応缶などの化学工業用品、建築材料など
ガラス・光学材料 レンズやプリズム等の光学材料、複合材料(ガラス繊維など)としても利用 窓ガラス、ガラス容器、平面ディスプレイ、レンズ
電気・電子・磁性材料 セラミックスの組成や構造の違いで絶縁性、半導性、磁性等様々な電気磁気特性を発現できる 碍子、半導体、電子部品
生体関連材料 セラミックスは生体適合性が高いため医療や医薬・生化学の分野で利用されている 人工骨、歯冠、HPLC用カラム充填剤

【合成ルート、作製・精製方法】

ファインセラミックスの製造工程は以下の通りです。
(1) 原料調合・混合・粉砕、噴霧・乾燥
セラミックボールが充填されたミルと呼ばれる装置に、原料粉末を水などの溶媒と共に入れ、均一な混合や粒子サイズの分布をそろえるために装置を回転または振動を加えます。混合されたものをスラリーといいます。調製されたスラリーは熱風を発生するスプレードライヤーと呼ばれる装置で噴霧されます。次の工程で成形型への充填率を高めたり、成形体の密度を高めたりするため、スラリーを乾燥するとともに、原料の詰まった球状の顆粒体に造粒されます。
(2) 成形
冷間静水圧加工成形(原料をゴムなどの型に充填し、圧力を加えて、製品形状に近い形状にする成形方法)、加圧成形(原料を型に充填し、圧力を加えて、製品形状に近い形状にする方法)、押出成形(原料に、水とバインダー、可塑剤、分散剤を加えて粘土状にし、この粘土状の可塑体に圧力を加えながら口金(金型)を通して押出し、成形する方法)、射出・鋳込成形(原料に添加物を加え、流動性を持たせて、型内に加圧充填し、製品形状に近い形状にする成形方法)などを用いて成形します。
(3) 焼成
焼結工程では、圧縮成形されたセラミック原料(充填率約60%)を、その融点以下で加熱し、粉体同士を融着・合体させることで緻密化が進みます。高温のセラミック粉体は、粒子の接触点を通じて互いに物質移動を起こし、あたかも水の液滴が接触するとひとつになるように、一体化します。焼結方法は、真空中、大気中や非酸化雰囲気中など、目的に応じていろいろなものがあります。
(4) 研削・接合
製品や目的に合わせ、主にダイヤモンド砥石等を使って、寸法精度の高い製品や鏡面に研磨された製品を作ったり(研削)、焼結体表面に金属層を設け、導体パターンの形成を行ったり(メタライズ)、セラミックス製品同士や金属・樹脂と一体化させ、複合製品を作ったり(接合・接着)します。

【歴史的背景】

・陶器の歴史
日本における陶器の歴史は、1万数千年前までさかのぼります。縄文式土器や弥生式土器をはじめ、1500年ほど前には粘土をロクロのうえで回しながら器の形を整え、1000℃以上の高い温度で長時間をかけて焼くことのできる穴窯の技術が大陸から伝わりました。
奈良時代に入ると、ガラス質の粉を原料とした釉薬(うわぐすり)が使われるようになり、安土桃山時代には、大陸から磁器が伝わりました。これは粘土に長石を混ぜて焼いた緻密な焼きものです。
・電気技術時代のセラミックス 一般的に、焼きものは気を通さない性質に加え、気温や湿度といった外的環境が変わっても性質そのものが変化しにくいという高い信頼性を持っています。この性質により焼きものは碍子や絶縁材料など、送電線から家庭で使用するさまざまな製品の部位にいたるまで広く使われるようになりました。
・エレクトロセラミックスの時代のセラミックス
20世紀に入るとラジオ放送・テレビ放送の開始、トランジスタの発明などエレクトロニクスの時代を迎えました。この時代に大型真空管用セラミックスが開発され無線機器に使用されました。半導体産業でもトランジスタやICのパッケージとして使用され、コンデンサーやインダクターの小型化にも貢献しました。
また、材料としてのセラミックスも大きな進歩を遂げました。天然の原料に加えて人工的に合成した原料が使われ始めたほか、金属材料と強固に接合するための技術も開発されました。精選または合成された原料粉末を用いて、管理された工程でつくられる高精度の工業用材料として、従来の焼きものとは一線を画した「ファインセラミックス」がこの時代に誕生しました。
・新素材の旗手としてのファインセラミックス
ファインセラミックスは、原料の種類や合成方法、これまで確立してきた豊富な製造工程などにより、いろいろな特性を創出することが可能です。軽くて剛性が高くかつ薬品などに侵されにくい性質を利用し、数メートルにおよぶ大型サイズのセラミックスが半導体製造装置や液晶製造装置に、また、信頼性が高くかつ金属との組み合わせが容易なことから自動車用部品に使用されています。誘電特性や圧電特性を利用した小型で高性能なセラミックコンデンサ、セラミックフィルタやセラミック発振子等多くの電子部品の機能をつくる基盤の材料となっています。工業製品や部品としてのみならず、ファインセラミックスならではの特性を生かして、包丁や装飾品、釣具部品など私たちの生活に身近で実用的な商品にもどんどん利用が拡大しています。

【参考文献】
・日本セラミックス協会 (2005)「これだけは知っておきたいファインセラミックスのすべて」

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