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バイオ系の用語抗原ドリフト(抗原連続変異)

【概要】

抗原とは、抗体によって特異的に認識される物質の総称であり、多くは細菌やウイルスのような外来の病原体のタンパク質などを指します。脊椎動物はこのような抗原と抗体の特異的な反応(抗原抗体反応)を利用して複雑な免疫系を構築し、細菌やウイルスなどの病原体を除去しています。
抗原ドリフトとはウイルスゲノムの突然変異の蓄積の過程であり、変異の蓄積により抗原の特異性が変化することで抗体による特異的な認識が損なわれ、免疫の喪失あるいはウイルスに対するワクチンの効果の喪失の原因となる可能性があります。身近な例ではインフルエンザウイルスの抗原の変異によるワクチンの不適合があります。

【性質】

・インフルエンザウイルスの抗原変異について
インフルエンザウイルスには、ヘマグルチニンとノイラミニダーゼ(ウイルス・ノイラミニダーゼ)の2種の表面タンパク質に関連する遺伝子があります。ヘマグルチニンはウイルスの上皮細胞への侵入に関与し、ノイラミニダーゼは子ウイルスの宿主細胞からの出芽に関与します。インフルエンザウイルス感染に対する宿主の免疫反応は主にインフルエンザ抗原を宿主の免疫系が認識することにより機能します。ウイルスのRNAポリメラーゼは校正機構を有さないため、RNAウイルスであるインフルエンザウイルスでは突然変異が頻繁に発生します。
その結果、表面タンパク質が変化し宿主の免疫からの回避を可能としています。

・RNAウイルスについて
RNAウイルスとは、ゲノムとしてRNAを持つウイルスのことです。
ゲノムRNAからDNAを介さずに遺伝情報が発現するタイプのウイルスと、ゲノムRNAをいったん逆転写酵素によってDNAとしてコピーし、そのDNAから遺伝情報を読み出すタイプのものがあります。後者をとくにレトロウイルスと呼びます。また、二本鎖RNAウイルスと一本鎖RNAウイルス(+鎖と-鎖の2種類)にわけることもあります。
インフルエンザウイルスはRNA依存RNAポリメラーゼを持ち、-鎖の一本鎖RNAを持つウイルスです。

【活用例】

抗原ドリフトはインフルエンザウイルスに対する免疫において重要であり研究の対象となっています。

【作用機序】

抗原ドリフトはRNAポリメラーゼの校正機能の有無によって、起る頻度が変化します。RNAポリメラーゼの校正は次のように行われます。転写ミスを起こしてミスマッチ塩基を取り込んだとき、RNAポリメラーゼはRNA伸長とは別の加水分解活性を発揮し、ミスマッチ塩基を含むRNA末端を切断・除去します。この活性はRNAポリメラーゼに結合するGreなどの転写因子によって増強されています。

【歴史的背景】

・本項で着目したインフルエンザについて
インフルエンザウイルスは本来、水鳥に感染する弱毒性のウイルスでしたが、突然変異によってヒト呼吸器への感染性を獲得したと考えられています。

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