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バイオ系の用語薬剤耐性

【概要】

薬剤耐性とは、生物が自分に対してなんらかの作用をもった薬剤に対して抵抗性を持ち、これらの薬剤が効かない、もしくは効きにくくなる現象のことです。多くの場合、医学・病理学、生物学の分野では、細菌やウイルスに対して薬剤が効かない、または効きにくくなることを指し、農学の分野では殺虫剤に対する病害虫の耐性や、除草剤に対する植物の耐性を指します。ここでは生物学の視点から、薬剤耐性菌について詳しく説明します。

【薬剤耐性菌発生のメカニズム】

(1)薬剤の不活性化
細菌自身が薬剤を化学的に修飾、分解する酵素を作り出すことで、細菌が耐性を獲得します。この耐性獲得法は最もよく見られる耐性機構です。
(2)薬剤作用点の変化
薬は「鍵と鍵穴の関係」とよく言われるように、細菌の特定の部位に特異的に作用するようになっています。そのため、薬剤が作用していた細菌の部位の構造が変化すると薬剤の効果は得られなくなります。このような薬剤耐性獲得機構はウイルスでよく確認されます。

(3)薬剤を排出するポンプを獲得する
3つめの薬剤耐性機構として、薬剤を排出するポンプを獲得することが挙げられます。1つの薬のみを外へ排出するポンプであれば他の薬剤を使う事で目的の細菌を殺すことができますが、1つのポンプが何種類もの薬剤を排出する機能をもつことがあります。このポンプを獲得した場合、一度に多くの薬剤に対する体制を獲得してしまうため大きな問題となります。

【薬剤耐性菌が発生しやすい条件】

(1)薬剤の低濃度投与
薬の濃度が低いため細菌が完全には死滅せず、その結果菌が薬剤に徐々に慣れてしまい、耐性を獲得しやすい環境となってしまいます。
(2)薬剤投与の中断
感染症などの治療で薬剤を使用していたにもかかわらず完治前に投与をやめてしまうと、耐性菌のみが生き残った状態で感染症をぶり返し、さらに悪化させてしまう可能性があります。
(3)同じ薬剤の長期投与
同じ薬剤を長い時間投与するほど細菌が薬剤に慣れ、耐性菌の発生確率が高まります。
このように、耐性菌の出現を抑えるためには、上記のような条件を避けて薬剤を使用する必要があります。

【薬剤耐性ウイルス:HIV−1】

HIV−1ウイルスは、1日に10億〜100億個も増える極めて活動的なウイルスです。また、HIV−1の逆転写酵素は逆転写の精度が低く、RNAからDNAへの逆転写過程で変異を起こす頻度が高いため、変異を獲得しやすい特性をもっています。薬剤治療中にHIV−1の複製が繰り返されることで、時間と共に薬剤耐性変異がウイルスに集積し、薬剤耐性レベルが上昇するので、不十分な治療は容易に薬剤耐性ウイルスの増殖を許すことになります。

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