研究用語辞典

二次代謝物とは

生物学系

最終更新日:2023.07.11

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二次代謝物とは

二次代謝物とは二次代謝の結果、産生された化合物等のことをいいます。
また、酵素等の働きによる化合物の一連の変換反応を代謝といいます。一次代謝は生命体にとって必須な細胞の増殖や恒常性維持に関与する代謝、二次代謝はそれ以外のものを指します。したがって、二次代謝がなくても、生命体は生存することができます。
二次代謝物の例としては、微生物における抗生物質の産生反応や植物における色素産生反応等が挙げられます。二次代謝物には医薬品のシードに応用されているものもあり、日々、研究が行われています。

二次代謝物として知られるもの

アベルメクチン

1974年に北里大学の大村智氏らにより放線菌が産生する抗寄生虫薬アベルメクチン(図1)が発見されました。アベルメクチンは誘導体を含め、ウシやブタ等の家畜動物およびイヌやネコ等のペット用の薬剤として用いられています。また、アベルメクチンの誘導体から創られたヒト用の抗寄生虫薬イベルメクチン(メクチザン)(図2)はWHO/TDR(世界保健機関-熱帯病研究特別計画)指導の下、糞線虫症や熱帯病オンコセルカ症およびリンパ管フィラリア症の治療に用いられています。現在では、生産菌がどのようにしてアベルメクチンを細胞内で産生するメカニズムも明らかになっており、アベルメクチン生合成に関与する遺伝子群を操作して、自由自在に新規化合物を産生することが可能になりつつあります。

<図1:アベルメクチン (愛玩動物用)>

図1:アベルメクチン (愛玩動物用)

<図2:イベルメクチン (ヒト用)>

図2:イベルメクチン (ヒト用)

参考文献

入門 ケミカルバイオロジー
発行所:オーム社
編集:入門ケミカルバイオロジー編集委員会 P.18~20、183

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