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液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)とは

化学系

最終更新日:2023.07.11

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液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)とは

化合物を液体クロマトグラフ(HPLC)にて分離し、分離された物質を質量分析計(MS)にてイオン化し分析する過程をひとつの装置で可能としたものです。幅広い化合物に対応可能なため、急速に普及しつつあります。

原理

LC-MSで用いられるイオン化モードはエレクトロスプレーイオン化法(ESI)または大気圧化学イオン化法(APCI)です。LCでよく分析される高極性・高分子量の物質にはESIやAPCIが適しているからです。ESIでは、溶液にした試料を電荷を帯びた液滴としてキャピラリーからスプレーします。窒素気流と加熱によって溶媒を揮発させることで電荷どうしが反発し合い、さらに細分化され最終的に1つの分子イオンとなります。APCIはESIを適用しにくい極性の低い試料に用いられるイオン化法です。加熱により気化した試料をコロナ放電によって大気から生成したイオンで間接的にイオン化します。ESIやAPCIはソフトなイオン化法であるため、フラグメントイオン(イオン化してから割れて断片化したイオン)の生成が少なく、1回のイオン化では同定に至る十分なスペクトルを得ることができません。そこで、2段階以上の質量分離を行うMS/MSまたはMSn分析が必要となります。
MS/MS(タンデム質量分析計とも呼ばれる)では、1段階目のイオン化で生じたイオン(プレカーサーイオン)を親イオンとし、アルゴンや窒素等のガスを衝突させて衝突誘起解離(CID)を行い、小さなイオン(プロダクトイオン)を娘イオンとして分離させます。MS/MSに対して、四重極を1組だけ装備した質量分析計をシングルマスとも呼びます。
LC-MSは、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)の一種に分類されます。MSによる解析をする時、事前にHPLCなどのクロマトグラフィーを行い、物質を分けなければいけません。複数の物質が混合した状態で測定したとしても、出現したピークがターゲット化合物のピークかどうか断定出来ません。
ただHPLCによって物質を分けた後、全ての物質について質量分析を行うのは手間です。そこで時間短縮のため、HPLCによって化合物を分離した直後、MSによる測定を行います。

LC-MSの構成

LC-MSの構成

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