研究用語辞典

カールフィッシャー滴定法とは

化学系

最終更新日:2023.07.03

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カールフィッシャー滴定法とは

カールフィッシャー滴定法とは、電量滴定法を利用した試料中の微量な水分を測定する方法です。高い検出能を持ち、測定時間も短く、誤差も少ないため有機溶媒中や食品試料中の水分の定量等に広く使われています。

原理

1. 定電流クーロメトリー

電解を定電流を用いて行うと、電解時間(t)と定電流の電流値(i)から簡単に電気量(Q)を測定することができます。(式1)

(式1)

Q = i × t

この式から作用電極に定電流を流し、電解により滴定剤を生成させ、目的成分との化学反応を利用することで滴定曲線を求めることができます。この方法は定電流クーロメトリーと呼ばれ、電流滴定法の一種として目的物の定量に広く用いられています。カールフィッシャー滴定法もこの滴定法を用いた水分の測定法です。

2. カールフィッシャー滴定法

カールフィッシャー滴定法では、一般的に滴定溶液にはヨウ化物イオン、アルコール、二酸化硫黄、ピリジンを用います。ここに試料を加え電解酸化を行うとまず(式2)のように陽極でヨウ素が発生します。

(式2)

2I- - 2e- → I2

試料中の水は発生したヨウ素と二酸化硫黄、アルコールと(式3)のような反応を行います。

(式3)

H2O + I2 + SO2 + ROH + 3C5H5N → 2C5H5N ・ HI + C5H5N ・ HSO4Rt

定電流を流せば(式1)からヨウ素が一定の速度で生成し、(式3)で消費されます。水分が無くなればヨウ素の濃度が急激に上昇し電極から検出され、そこが反応の終点となります。
(式3)から1molのH2Oは1molのI2と反応することがわかります。またI2の生成は(式2)から2電子反応であるため1molの水は2×96500Cに相当します。このことから反応終点までの電解時間(t)と電流値(i)がわかれば(式1)から電気量を求めることができ、逆算することで測定サンプル中の水分量を定量することができます。

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