研究用語辞典

蛍光顕微鏡とは

生物学系

最終更新日:2023.07.03

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蛍光顕微鏡とは

光にしばらくあてておくと、暗いところでぼやーっと緑色に光るおもちゃを見たことはありませんか?
その光が"蛍光"です。蛍光顕微鏡は、その"蛍光"を利用した顕微鏡です。
多くの物質は、拡大して観察すると無色透明になりますので、蛍光顕微鏡で観察するためには、観察したい細胞や臓器、植物等に、蛍光を発する物質をつける必要があります。
遺伝子組換えにより蛍光物質を作れるようにしたり、化学物質で染めたり、抗体を使って後から蛍光物質をつけるという方法が一般的に用いられます。
例えば違う蛍光色を使い分けることにより、写真のような画像を撮ることができます。
顕微鏡を使って行う実験全般に言えることですが、良い顕微鏡写真を撮るためには、観察試料作りがとても重要になります。試料作りの一つ一つの作業をきっちりと行うことができれば、おのずと良い写真が撮れるようになります。

神経系細胞の1種の蛍光顕微鏡写真

ノーベル賞受賞

2014年のノーベル化学賞は、超高解像度の蛍光顕微鏡を開発した米ハワード・ヒューズ医学研究所のベッツィグ博士、独マックスプランク研究所のヘル博士、米スタンフォード大学のモーナー博士に授与されました。
この顕微鏡は観察試料に対して様々な方法で染色を行い、発光させた光を観察する顕微鏡です。しかし、私たちの目は実は認識できる限界があります。簡単な例えですが、夜間に遠くから来る車のライトが1つに見えることがありませんか?実際は2つ光っているのに、遠くから見る限りでは別々の光を判断することが難しいのです。それが蛍光顕微鏡でも当てはまり、隣り合っている蛍光がひと塊に見えてしまうので、より正確に観察することができませんでした。しかし、ノーベル賞を受賞した3名の研究により、蛍光顕微鏡は超高解像度の観察をすることができるようになり、分子生物学や医学分野に大きな貢献を果たすこととなりました。

STED顕微鏡

ヘル博士の開発した顕微鏡は、染色した試料に対して蛍光を発光させる光と、発光させないようにする光(STED光)を同時に照射させ、それを全体に走査させることで他の光が混じらない、より鮮明な試料を撮影することができる顕微鏡です。

PALM

PALMとは光活性化局在性顕微鏡法の略称であり、モーナー博士が発見し基礎技術を確立し、ベッツィグ博士がより発展させてPALMを完成させました。その発見は、ある色素分子は、紫外線を当てると蛍光のOn/Offを自由にできるということでした。それを使って、まず全体に弱く紫外線を当て一部のみ蛍光させるようにして測定し、それを繰り返して全体像を超高解像度で観察することができるようになりました。

PALM

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